「高い仕事」と「ぼったくり」は違う 説明能力がないだけのことが多い

 あなたは今、塗装工事を検討していて、各会社のチラシやホームページを見ているとします。ところがです。同じ25坪の家の塗装でも、60万80万100万120万の会社があります。インターネット専業の会社だと、40万円なんていう会社もあるかもしれません。そうか、じゃあ一番安い60万か、ちょっと遠いところにあるかもしれないけれどインターネットの40万の会社にしようかなと思うかもしれません。

 

 ちょっとまってください。誰だって、安いほうがいいですよね。安いほうが売れるのですから、高い塗装には見向きもしないはずです。それなのに、80万100万120万の会社はなぜその値段で売っているのかということです。

 

 お客様は10年に1回しか塗装のホームページを検索しないかもしれませんが、建設会社の経営者や広告宣伝担当者は週に1度はライバルのホームページを見て、同じ地域のライバルの大体の値段は知っているものなのです。

 

 もう一度繰り返します。80万100万120万の会社の社長はインターネットでライバルが60万、40万という価格で販売しているのを知っています。yahoo知恵袋で自称建設会社経営者が「80万100万120万なんて信じられない。自分だったらあなたの家、40万で塗ってあげるよ」というのも知っています。どうして対抗してその値段にしないのでしょう?

安いものを買ったらゼロになる


上:ホームセンターコーナン ホームセンターではとても品揃えが良いです。

右:プラスチックの鏝台 水分を吸収してくれません

下:左が高い刷毛 右が安い刷毛

右下:濡らすと左の高い刷毛は毛先がそろうけど、右の安い刷毛は濡らしても毛先がそろわない



 どういうことでしょう。道具で説明しましょう。こて台には左官用具店で買う2800円の木製鏝代とホームセンターで売っている1800円のプラスチック製があります。また、ハケにも一本1800円の塗料屋さんで買うハケと、ホームセンターで売っている一本100円のハケがあります。

 

 鏝台も刷毛も、安いものと高いものでそんなに変わらないように見えます。ところが穴があります。

 

 まずこて台です。プラスチックのこて台は、水分がたれて流れやすいのです。使う前に漆喰をしっかりとまぜて使う分を全部きっちり耳たぶの硬さに出来てからこて台に乗せる分には何も問題がないのですが、しっかりまぜきれない場合、こて台に漆喰を混ぜた後、こて台の上の漆喰から水分がとろりとたれてきます。これを木製のこて台は吸収してくれるのですが、プラスチック製は吸収してくれません。また、3ヶ月も使っていれば、自分に合う大きさにこて台を切りたくなりますが、プラスチック製は切れません。結局1800円のプラスチック製は使いにくいので、木製のこて台を買いなおすことになります。1800円は無駄金でした。

 

 また、高いハケと安いハケの違いは、毛先がまとまるかの違いです。大きいところを塗る分には問題ないですが、細かいところを塗るときに毛先がまとまらないので、高いハケを買いなおさなければなりません。

 

 こういうことは、買うときには売り手は教えてくれません。左官用具店、塗料店の店員は実際に工事をすることがないため、高い道具について聞いても「高い道具にはこれこれこういう利点があります。」とはいってくれません。ただ「プロ用です。」とか「ベテランの方は高いのを購入しますね。」というだけです。また、ホームセンターの店員も「一般の方はこれで十分です。」というだけで、安い一般向けの工事用品にどのような限界があるのかは知りません。

 

 「安いものはこういう欠点があるのか」と現場の職人が見にしみてわかるときは大抵現場で工事中で、左官用具店や塗料屋は車で30分先、往復1時間、しかしここで自分の仕事が止まったら一緒に働く仲間に迷惑がかかってしまう、なんていうことが多いのです。」

 

 先ほどの高い80万100万120万の高い塗装を売る会社は、そういうことがわかっているのです。ただ、高いこて台やハケの良さをうまく説明できない左官用具店や塗料店と同じく40万60万の塗装とどう違うのかという説明能力がないのです。

 

 高い塗装を売る会社は、契約をしても、息子さんに「インターネットだと40万円の業者がある。100万円なんてぼったくりだ。人の良いお父さんをだましたな」などと言われてキャンセルされてしまい、後日ネットに「ぼったくる悪徳業者で父が引っかかるところでした。あわててキャンセルしました。」などと書かれてしまうこともあります。

 

 結局、違いがわかる人(安い塗装を10年前にして失敗した人や、大学で工学を専攻した人)がやってくるのをじっと待つことになります。

 当社はお手ごろな価格帯と考えていますが、安い会社には安い会社の、高い会社にも高い会社なりの理由があるのです。

バケツも見た目は同じでも安いものと高いものでプラスチックの強度が全然違います。


左が普通の塗り、右は安い業者に多いP塗り

安い業者に多いのがP塗りです。これは昔Pという大手さんがあまりにも下請けを値切るのでその中で利益を出すために下請けが編み出した塗り方のため、P塗りといわれているのです。


中古車のように、すでに作ってあるものは値切ってもいいけれど、今から作るものは値切ってはダメ「公平性の問題」

 営業サイドで、他社との競争で、消費税程度だったら負けることもあるでしょう。それくらいは職人もわきまえています。でも、それ以上の値引きは何かがあると疑わなければなりません。必ず職人のなんかしらかの手間を削っています。

 

 材料は何かしらか使いまわしになりますかもしれませんし、熟練技術者でなく、アルバイトになるかもしれません。それはお客様が求めて手にしたかった工事とはおそらく違うものです。

 

 先ほどの例でいえば、正当な値段を払った○○様が手にするのは木製のこて台、高いハケであり、値切った□□さんが手にするのは見た目はほとんど変わらなくてもプラスチックの鏝台、安い刷毛です。見た目の差はプロである現場監督ですら気がつきません。

 

 値切ったお客様は工事の直後、半年後、もしくは数年という時間がたってから「なんだ、職人の仕事ってこんなものだったのか」と思ってしまうかもしれません。そしてその会社との関係は終わってしまいます。

 

 ところがそうではありません。正当なお値段を払ったお客様は本物の商品を手にしますから、「さすがプロだ。日本の職人の仕事って素晴らしい」と思いもっともっと職人の技が見たくなり、もっともっと建築が好きになるのです。

当社が値切って失敗した例

これは当社が実際ににされたことです。

 

「シルバー人材センターよりはるかにいい金出してんだから」と造園会社A社の手間を削る

→連絡がつかなくなり、次のお客様の依頼には対応できず、同じ地区のライバルの会社に仕事をとられる。

「少し離れたところにあるけど、他社と同じ支払い価格にしていいだろう」と外溝会社B社の交通費を削る

→ゴミをなぜかおしつけられ、B社と仲の良いガン拭き塗装会社まで連絡がつかなくなる。

「消費税で相場が上がっているのけど、今までの付き合いだし」と足場鳶会社C社の手間を上げない

→当社のお客様の所に無断でC社の営業がやってきて関係ない商品の営業はじめる。

「ひどく無口な大工さんだな。これじゃ一人前の手間はあげれないな」と中年の大工の給料をさげる

 →仕事中に行方不明になり、他社さんに相場より高いお金を払って緊急に仕事を仕上げてもらう。

 

どれも大幅にお客様の信用を落としてしまい、当社は値切った以上の損をしています。

結論

 大会社で安定して月1000万の工事を数年にわたって発注しつづけれるなどという強い立場にない限り、これからしようとする工事で値切ってはいけません。(注、売れ残った住宅などは、すでに工事が終わっているので値切ってもいいと思います。)値切りには、私たちプロですら、協力会社さんに痛い目に何度もあわされています。値切るなら、最初から安い会社で工事をするべきです。

 

 当社は宣伝費を極限まで安くすること(リフォーム雑誌広告と雑誌広告と新聞広告なし)を大切にしています。浮いたお金を職人の給料と材料の品質を高くすることができるからです。

 

 結果として高品質な工事をお手ごろな値段で提供していると信じています。

 

 けれども、当社は最初からお手ごろな値段であるかわりに、値切りはないです。

電話やFAXが苦手な方はこちらから(グーグルやぷららと相性の悪いIPだと受け付けないことがあります。24時間以内に当方から連絡がない場合、電話で連絡してください)rinkaicorp@gmail.com

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