読書2

 読書について思うところです。住宅は高い製品だから、簡単に売れるものではありません。ですから、本屋のビジネスコーナーには、たくさんの営業のアドバイス本が並んでおります。住宅、保険、自動車のトップセールスマンが「こうすれば売れるよ」みたいな本が並んでいます。

 ちょっとまってください。「マツタケの取れる場所は親子でも漏らすな」という言葉が田舎にはあるそうです。マツタケはたかが1本5000円から10000円くらいです。果樹や作物のように、安定していつもとれるわけではないので、農家の人の副業とするにはいいですが、マツタケ採集を本業とできる人は少数だと思います。その小遣い稼ぎのマツタケの取れる場所ですら教えてくれないのがビジネスの世界では当たり前なのです。

 一本5000円から10000円のマツタケの場所すらおしえてくれないのに、価格が1500万円を超える住宅、月2万、年間24万、40年で960万を払う保険、200万円の自動車の売り方を、セールスの達人と呼ばれる人がたかが1500円の本で教えてくれるわけがないのです。せいぜい「笑顔をたやさずに、服装が大切」程度のことを書いてあるだけです。

 ほとんどの営業のアドバイス本の著者というものは、建前は「自分は売れないセールスマンの役に立ちたい。住宅セールスのベテランの僕がアドバイスします。」というようなことを主張していますが、実際は「僕は売れないセールスマンにアドバイスできるほど優秀な住宅セールスマンなんです。だから私から住宅を買ってくださいね」という、自分自身の顧客に対するセールス活動の一環なのです。

 あなたが新人の営業マンなら、必ず上司がいます。上司は新人の成績が上がれば、自分の成績もあがりますから、「服装が大切」のようなあたりさわりのないことを書く営業のアドバイス本の著者と違い、喜んですべてを惜しまず教えてくれれます。ですから、あなたの営業成績がよくないなら、本屋の営業コーナーをうろうろする前に、あなたは上司に徹底的にセールスについて聞くべきなのです。

 本は、たとえ著者の肩書きが優れていても、私たちの思っている以上にあたりさわりのないどうでもいいことが書いていることが多いです。ビジネスにおいては、目の前の現実が一番大切だと思います。